喫煙所の3分間が、私が7年間ずっと探していたものでした

こんにちは。株式会社TIMの梅田です。
今日は、私が7年間ずっと抱えてきた「物足りなさ」の話を書きます。
先に白状しておくと、私はこの物足りなさの正体を、つい最近までずっと勘違いしていました。足りないものがあるんだと思っていたんです。でも実際は、足りていなかったのではなく、順番を間違えていただけでした。
その勘違いに気づくまでの、少し間抜けな話です。
Contents
私が会社を作った、あまりに傲慢な理由

まず、恥ずかしい告白から始めさせてください。
私が会社を立ち上げた理由の一つは、はっきり言って傲慢さでした。
当時まだ20代前半だった私は、友人たちの将来を勝手に心配していました。このままだと、あいつらは困ることになるんじゃないか、と。
じゃあ、金を渡せばいいのか。それは違うと思いました。金を渡したところで、その人自身は何も変わらない。だったら、ちゃんと働いて、自分を見つめ直して、成長していける場所を作らなきゃいけない。
……我ながら、何様だよという話です(笑)他人の人生を勝手に案じて、勝手に場所を用意してあげようとしていたわけですから。
ただ、そのとき私が思い描いていた景色だけは、けっこうはっきりしていました。
お互いを高め合いながら、それぞれが独創的なアイデアを持ってくる。それに対して「いや、こっちの方が面白いんじゃないか」という議論が自然と起きる。人が喜ぶことを全員が真剣に考えて、そこに全力を注ぐ。
売上でも、規模でもなく。私が見たかったのは、その光景でした。
「自由に考えてください」と言うと、誰も何も持ってこない

では、現実はどうだったか。
会議で私が「自由に考えてください」と言って始めると、どうなるか。
誰も、何も持ってきません。アイデアどころか、議題すら出てこない。
正直に書きます。物足りなかったです。すごく。
……ここまで読んで「仲間に不満があるのか」と思われた方がいるかもしれません。逆です。この物足りなさの原因は、たぶん全部こちら側にありました。ここから、その話をします。
「ホームランを打とう」と言われていない打者は、ホームランを打とうしない
私が長く教わっている先輩経営者の方から、以前こう言われたことがあります。
共通認識がないところに、教育は成立しない。「ホームランを打とう」という共通認識がないチームで、ホームランを打つ練習はできない。仮に練習させたところで、まったく意味がない。そもそも打つ気がないんだから、と。
これを聞いたとき、頭を殴られたような気がしました。
私の「自由に考えてください」は、まさにこれだったからです。何を打てばいいのかを渡さないまま、「さあ、好きなように打て」と言っていた。土俵も、ルールも、勝ち負けの基準も渡していない。それで動ける人は、10人に1人いればいいほうです。
私は、自分が渡していないものを、相手に要求していました。
もっと痛かったのは、こちらの指摘です

そして、当時の私にとっていちばん刺さった言葉が、これでした。
経営者というのは、自分の考えていることがいかに素晴らしいかを、自分以外の誰かを使って表現しようとする生き物だ、と。
……ぐうの音も出ませんでした。
私が見たかった「議論が起きる会社」というのは、突き詰めると、私の理想を仲間に演じてもらいたかった、ということです。私が「これがいい会社だ」と思っている景色を、他人に再現させようとしていた。
そりゃ、誰も何も持ってきませんよね(笑)自分が主役でもない劇に、台本も渡されずに立たされているようなものですから。
学んだことを、そのまま会議で話してしまった日
この頃、私はもう一つ、なかなかの失敗をやらかしています。
せっかく良いことを教わったのだから、これはみんなにも共有すべきだ。そう思って、会議で私が学んできた話をそのまま語ったんです。しかも、けっこう熱く。
その場の空気は、悪くありませんでした。みんな真面目な顔で聞いてくれるし、うなずいてもくれる。私は「今日はいい会議だったな」と満足して帰りました。
そして、何も変わりませんでした。翌週も、その翌週も。
後日そのことを先輩に話したら、こう返ってきました。それはお前が気持ちよくなりたかっただけだろう、と。
「これうまいから食ってみろ」と勧めるのは、悪いことじゃない。でも、相手が食いたいものを食わせてやるほうが、相手にとってはよっぽど素敵なんだよ、と。
私はこのとき、二重に間違えていました。渡していないものを要求していただけでなく、相手が欲しがってもいないものを、良かれと思って渡し続けていたんです。それで「反応が薄い」と物足りなさを感じていたのだから、話になりません(笑)
喫煙所での3分間を、私はおまけだと思っていました

ここまでが、私の勘違いの中身です。ここからが、順番の話になります。
たまに、喫煙所でメンバーとばったり会って、何の生産性もないくだらない話で笑い合う瞬間があります。時間にすれば、3分か5分です。
私はずっと、この時間を「本命の代わりに手に入った、ささやかなもの」くらいに扱っていました。本命はあくまで議論であって、これはおまけだと。
でも、あるとき気づいたんです。私は、順番を完全に逆にしていた、と。
私はずっと、こう思っていました。まず真剣な議論があって、その結果としてチームがまとまって、最後に笑いが生まれるんだ、と。
実際は、逆でした。先に笑いがあって、議論はその上にしか乗りません。何でも言い合える空気が先にあるから、「それは違うんじゃないか」が言えるようになる。順序が逆では、絶対に立ち上がらないんです。
そして、笑いがあるかどうかは、私はとっくに確認できていました。喫煙所で、3分間、毎回確認していたわけです。
これは教わっていたことでもありました。うまくいっていない組織では、笑いの代わりに、不満と、皮肉と、陰口が出てくる。逆に、くだらない話で笑い合えているなら、そこはもう土台ができている、と。
うちには、それがありました。7年かけて、たしかに積み上がっていた。
それなのに私は、その3分間を「生産性がないもの」として脇に置き、まだ何も手に入っていないと言っていたわけです。入り口にちゃんと立っているのに、出口だけを見て「まだ着かない」と文句を言っていた。
いちばん間抜けなのは、どう考えても私でした(笑)
だから、これから何をやるのか

現在地がはっきりしたので、やることも変わりました。
まず、「自由に考えてください」をやめます。代わりに、問いを渡します。何をどこまで考えればいいのか、どこが自由で、どこが自由でないのか。共通認識を先に作る。独創性は、土俵の上にしか生まれません。
次に、私が話す量を減らします。私が学んできたことをそのまま渡すのではなく、相手が今いちばん欲しがっているものは何かを、先に聞く。これは私にとって、正直かなり難しい課題です(笑)
そして、会議を私が回すのをやめていきます。会社の方向を全部一人で決めてきたのは私です。決めてきた人間が「意見を出せ」と言っても、そりゃ出ないですよね。出す練習をしてこなかったのだから、その練習の場から作るしかありません。
7年かけて土台を積んだ人間が、その上を1年で建てられるとは思っていません。
それでも、「足りない」と「順番が違う」では、打つ手がまったく変わります。前者は自分か誰かを責めて終わりますが、後者はやることが決まりますから。
最後に|その「くだらない雑談」、切り捨てていませんか
ここまで読んでくださった経営者の方に、一つだけお聞きしたいことがあります。
会社は回っている。数字も悪くない。それなのに、なぜか満たされない。そんな感覚はありませんか。
もしあるとしたら、私と同じかもしれません。上のほうばかり見ていて、すでに手に入っているものを「これは違う」と自分で切り捨てているのかもしれない。
少なくとも私は、そうでした。しかも、それに気づけたのは外の人と話しているときだけでした。社内にいる限り、私はずっと自分の答え合わせをしているだけでしたから。
だから、正直に書きます。私は今、本気で議論できる相手を探しています。
案件の共有でも、組織の話でも、まったく関係のない雑談でも構いません。「うちも同じだよ」の一言だけでも、たぶん私はかなり救われます(笑)
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