「相談したい」が、世界で一番こわい言葉

こんにちは。株式会社TIMの梅田です。
今日は、経営者やリーダーをやっている方に、一つだけ聞いてみたいことがあります。
「ちょっと相談があるんですけど」
そう言われた瞬間、体が、すこし固くなりませんか。
私はなります。正直に言うと、こわい。
なぜこわいかというと、この先に待っているのが「正解のない試験」だと知っているからです。しかも採点基準は非公開で、落ちると空気が凍る(笑)
Contents
私の不正解率は、たぶん7割です

先週も落ちました。
2時間かけて話を聞いて、メモも取って、状況も整理して。我ながら、なかなかいい聞き手だったと思っています(笑)
そして最後に、こう言いました。
「なるほどね。で、どうしたいの?」
空気が、スッと固まりました。
「……いや、どうしたいとかじゃなくて」
え。じゃあ何(笑)
これ、7年で何十回とやっています。
白状すると、私はそのあいだ息を止めています
この試験がなぜこんなに疲れるのか、最近になってようやく言葉にできました。
相談を受けているとき、私はただ聞いているわけではないんです。
今この人は何を求めているのか。ここで意見を言っていいのか。共感すべきなのか、事実を確認すべきなのか。それを全部同時に探りながら、外さないように、息を止めて聞いている。
誰も「息を止めて聞いてくれ」なんて頼んでいません。勝手に止めているだけです。だから、聞き終わったあとにドッと疲れる。
しかもこれだけ集中して聞いているのに、たいてい外すんですよね(笑)
察することが本当に苦手

誤解のないように言っておくと、私は要望に応えられない人間ではありません!多分。きっと。そう思いたい(笑)
「壁打ち相手になってほしい」と言われれば、喜んで壁になります。「何も言うな、うんうんって相槌だけ打っててくれ」と言われれば、それもやります。得意ではないですが、どうして欲しいのかが明確ならやれます。
でも「察する」ことだけは本当にできません。
ところが世の中の多くの人は、「相談があります」「解決したいんです」という言葉から話を始めます。それでいて、解決の話をすると不機嫌になる。
採点基準が非公開だ、というのはそういう意味です。
そこで、この試験の出題範囲を調べてみた

先週の一件でさすがにこたえたので、「話を聞いてほしい」という言葉の中身を、徹底的に分解してみることにしました。
結果、少なくとも4つの、まったく別のものが混ざっていることが分かりました。つまりこの試験、ずっと4択だったんです。
① 私は正しい、と言ってほしい
求めているのは、判断の追認です。自分の正しさを、自分ひとりでは確定できないので、他人を使って承認したい。
必要なのは、「その状況なら、そう判断するよね」の一言だけ。
私はここで、良かれと思って「でも、こういう見方もあるよね」を挟んじゃうんです。。。相手が求めていたのは選択肢ではなく支持だったので、その瞬間に会話が終わりました。親切のつもりで、口を塞いだわけです。
② そう感じた自分を、否定しないでほしい
①と似ていますが、まったく別物です。こちらは正しさではなく、感情の解放を求めています。
「あなたがそう思ってしまうのは、仕方ないよね」
この一言が欲しい。事実として正しいかどうかは、実は関係ありません。感情に許可が下りると、人は勝手に前に進み始めます。
私はここで、事実確認から入りました。「でも実際のところは、こうだったんじゃない?」と。正しいことを言えば相手が楽になると思っていたんですが、逆でした。正しさは、感情の許可証にはならないんですね。
③ 話しながら、自分の頭を整理したい
これは男性に多い印象があります。というか、私自身が一番これをやります(笑)
口に出しながら考えを組み立てているだけなので、相手に答えは求めていません。ただ、壁が必要なんです。
聞く側としては一番ラクな相手のはずなのに、私はこれもよく外します。話の途中で構造が見えてしまうと、つい「つまり、こういうことでしょ」と先回りする。相手はまだ組み立ての最中なのに、勝手に完成品を渡してしまうわけです。ジグソーパズルを横から解かれるようなものだと思います。
④ 一人で抱えているのが、しんどい
最後の一つは、内容がほとんど関係ありません。
誰かとこの状況を共有している、という状態そのものが目的です。ひとりで持っているのが重いから、半分持ってくれる人が欲しい。
私はここで、いつも一番張り切ってしまいます。状況を整理して、選択肢を並べて、優先順位までつけて渡す。そして返ってくるのが、あの言葉です。「いや、そういうことじゃないんです」。相手は荷物を半分持ってほしかっただけなのに、私は荷物の詰め方を指導していたわけです。
問題は、4つが全部おなじ一言で届くことです

先に強調しておきたいのは、この4つは全部、まっとうな欲求だということです。
正しさを確認したいのも、感情を許してほしいのも、頭を整理したいのも、一人が苦しいのも、人間として当たり前です。私自身、全部やります。
問題は中身ではありません。この4つが、全部まったく同じ一言で届くことです。
「話を聞いてほしいんです」
目隠しをされたまま4択を出されて、外すと怒られる。冒頭で「こわい」と書いたのは、これのことです(笑)
私たちが「察する」のが苦手なのには、たぶん理由がある

こういう話をすると、「もっと人の気持ちを汲めるようになれ」と言われそうですが、少し反論させてください。
経営者やリーダーで、感情の機微を読むのが苦手な人は、けっこう多いと思います。私もその一人です。
ただ、それは冷たいからではなく、そういう訓練を積んできたからだと思うんです。
一時的に成果を出すだけなら、感情に任せて全力で走れば、誰でもある程度はできます。でも成果を出し続けるとなると、話は変わる。感情から一度距離を取って、事実を見て、本質はどこかを冷静に探る必要がある。
その訓練を何年もやってきた人間が、感情ベースの読み取りだけ得意、というのはなかなか難しい。だからこの手の人ほど、「話を聞いてほしい」の解読に苦しむんだと思います。
これは、能力の欠陥というより、得意の裏側なんじゃないかと。
息を止めて聞いてしまうのも、たぶん同じ理由です。外したくないから、必死で正解を探している。本当に冷たい人間は、そもそも息を止めません。
だからお願いです。指示をください
そんなわけで、私からのお願いは一つだけです。
「共感してほしい」と言ってください。
そう言ってくれれば、できます。少なくとも、外しません。
・共感してほしい
・自分の判断が間違っていないと言ってほしい
・頭を整理したいので、壁になってほしい
・何もいらない。ただ一緒にいてほしい
どれでもいいんです。指示さえあれば、たいていのことは応えられる。応えられないのは、察して欲しいときです。
だから最近、私は相談を受けるときに、先に一つだけ聞くようにしています。
「今日は、どれ?」
この一言を挟むだけで、事故が激減しました。7年やってきて、一番費用対効果の高い改善だったかもしれません(笑)
ただし、これは自分にも突き刺さります

偉そうに書きましたが、この話には続きがあります。
私自身が誰かに相談するとき、自分が4つのうちどれを求めているのか、実は分かっていないことが多いんです。
解決してほしいつもりで話し始めて、途中で「あ、私はいま、正しいって言ってほしいだけだな」と気づく。しょっちゅうあります。
つまり相手が指示をくれないのは、意地悪でも甘えでもなく、本人も分かっていないからなんですよね。
だとすると「今日は、どれ?」は、採点基準を教えろと迫る質問ではありません。採点基準を、二人で一緒に作るための質問です。相手を仕分けるためではなく、相手が自分の求めているものに気づくために聞く。
最後に|30歳でやっと気づきました

この話、私は30になってようやく気づきました。
世の中の皆さんはとっくに知っていて、「何を今さら」と笑われたら、けっこう恥ずかしい(笑)
でも、もし同じところでずっと事故り続けている経営者やリーダーの方がいるなら、共有する価値はあるかなと思って書きました。
あなたが冷たいわけでも、共感力が欠けているわけでもありません。ただ、目隠しで4択を当てさせられていただけです。
次に「ちょっと相談が」と言われたら、こわがらずに聞いてみてください。「今日は、どれ?」と。
ただ一つだけ注意事項を言っておくと、マジで嫌われます(笑)
一緒に仕事がしたいと思ってくださった方へ
TIMは、完璧な会社ではありません。私が「で、どうしたいの?」で空気を凍らせ続けてきた会社です(笑)
それでも、上下ではない関係を、会話から作っていきたいと本気で思っています。
・ドライバーさんは抱えているが、安定した案件が確保できない
・現場との会話が、なぜか噛み合わない
・一人で判断し続けていて、本音をぶつける相手がいない
そんな話こそ、大歓迎です。ちなみに私に相談される際は、4つのうちどれかを先に言っていただけると助かります(笑)
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。









